【勉強ノート 急性冠症候群(ACS)編】心筋梗塞患者さんの患者指導わかりやすく

看護師勉強ノート
新人看護師
新人看護師

5号室の患者さん、心筋梗塞なんて大病したとは思えないほど元気ですよね

退院したら快気祝いにラーメン屋巡りするぞーって意気込んでました!

私も嬉しくなって、是非楽しんで来てくださいってお話ししてきました

先輩看護師
先輩看護師

それは楽しみね(^^♪ってちょっと待った‼️

心筋梗塞で無事治療が終わったらその先はなんの心配もいらないって思ってる?

新人看護師
新人看護師

えっ・・・ダメなんですか?

だってステント治療は成功したし、他にも細くなっている冠動脈もなかったし

心筋梗塞から無事に復活!治療が終われば無罪放免元通り

なーんてそうは問屋が卸さない

この先も元気でいる為に、これからどう健康と向き合うかがこれからの人生を大きく左右する

本当の意味での健康を手に入れるために

ミッション

心筋梗塞に至るまでの生活から原因を究明し、2回目の心筋梗塞を回避せよ

\動画で知りたい方はこちらもどうぞ/

ACS(えーしーえす)の患者さんのその後の再発率

ACS(えーしーえす)とは?

不安定狭心症(UA),急性心筋伷塞(AMI),虚血による心臓突然死を包括した疾患概念である

急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)文書名 :ACSガイドライン_190327-2.pdf (j-circ.or.jp)
先輩看護師
先輩看護師

心筋梗塞で治療後、元気に退院してもまた心筋梗塞になって入院する患者さんはとても多い

新人看護師
新人看護師

患者さんあんなに元気になったら、2回目の心筋梗塞になるなんて想像できないですね

もう完治したってきっと思ってると思います

こんなに再発が多いなんて・・・。

狭心症や心筋梗塞でPCIを行い冠動脈の狭窄がなくなっても、同じ人の同じ血管です

冠動脈が狭窄するような食生活や日常生活習慣を入院前と同じように続けていれば、冠動脈はまた同じように細くなることが予想されます

先輩看護師
先輩看護師

そう気を落とさないで

心臓リハビリでしっかり健康管理を行った患者さんは、2回目の心筋梗塞を予防できるだけじゃなく、心筋梗塞を起こしていない人と同じような生涯を送れるって言われているの

だからこそ、2回目の心筋梗塞を起こさないために必要な生活習慣の見直しや確実に内服を続けることが大切になってくるのよ

心臓リハビリを行うことで心筋梗塞に至った原因となる生活習慣が何かを知り、生活習慣を改善させることができます

の健康管理、セルフケア習慣の獲得が2回目の心筋梗塞予防には不可欠です

ACS(えーしーえす)の患者さんの目指すべきゴール

新人看護師
新人看護師

5号室の患者さんのゴールは元気に退院することはもちろん

2回目の心筋梗塞を起こさない」ですね

先輩看護師
先輩看護師

その通り!!

入院中に再発予防に必要な情報や、具体的に気を付けてほしい生活について知ってもらうこと=療養指導をしないとね

ゴール

再発を予防すること

症状出現時に我慢せずにすぐに受診ができること

2回目の心筋梗塞の原因を究明

どうして冠動脈が細くなったのか、原因が分かれば何に気を付けたらよいのかもわかってきます

ではどのような原因・誘因があるのでしょうか

冠危険因子について

この4項目以外にも、

そのほかの冠危険因子
  • 肥満(BMI>25):体重1㎏増加で虚血性心疾患での死亡の危険性が1~1.5%増加
  • 慢性腎臓病
  • ストレス:慢性的な職場のストレスで再発の増加
  • 家族歴:両親、祖父母、兄弟、姉妹に突然死、若年発の虚血性心疾患の既往がある

この冠危険因子があると心筋梗塞になるリスクが高くなります

先輩看護師
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この冠危険因子を是正ぜせいしていくことこそが2回目の心筋梗塞予防に繋がる

新人看護師
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これからは患者さんの既往歴の中から冠危険因子がどれかを意識して情報収集します

情報収集ポイントその1

・冠危険因子が何か意識して情報収集しましょう

・当てはまる冠危険因子のコントロール状況を確認しましょう

(例えば:高血圧ならどのくらいの血圧で推移していたか、糖尿病ならHbA1cの値など)

入院時の症状を確認しよう

発症 12 時間以内の ST 上昇型心筋梗塞(STEMI) 対して再灌流療法を行うことの有効性は確立している

STEMI患者に対し、熟練したチームによって院内へ到着から90分以内に達成されるPrimary PCIは、的確な再灌流療法である

文書名 :ACSガイドライン_190327-2.pdf (j-circ.or.jp)
先輩看護師
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万が一、2回目の心筋梗塞を起こしてしまった場合、なるべく早く病院に到着して速やかに治療を受けることで体に受けるダメージを最小限に抑えられる可能性が高くなるの

新人看護師
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確かに、早く治療できたほうが傷は浅く済みまよね

でも患者さんから「ご近所の目もあるし救急やを呼ぶって結構抵抗ある」とか

病院が休みの日はどうしたらいいか」って言われたことあります

先輩看護師
先輩看護師

症状があっても大丈夫と言い聞かせて受診せずに自宅で我慢してしまう患者さんは多い

だから万が一の時の備えのために、どんな時に早めの受診が必要かをしっかり伝えることが重要なの

情報収集のポイントその2

・来院時の自覚症状をチェックしましょう

・患者さんに入院時の状況を尋ね、自ら語ってもらうことで症状の認識に繋がり◎

・無症状の場合、次の心筋梗塞も無症状の可能性があるため自覚症状以外で体調を把握する方法を

 考えていきましょう

冠危険因子別、情報収集のポイント

心筋梗塞に至った原因・誘因となる冠危険因子が分かったら、その冠危険因子別に療法指導を行っていきます

この記事では冠危険因子別の情報収集ポイント、つまり原因検索のポイントについてまとめています。

そのため、項目別の療養指導について(例えば減塩、節酒、間食、禁煙など)の詳しい指導内容については割愛します

今後項目別の療養指導記事を追加予定ですのでそちらをご参照ください

血圧が高かった

血圧が高くなる原因、生活習慣を患者さんと一緒に探しましょう

虚血性心疾患患者さんの家庭血圧の管理目標値は130/80未満mmHg

JCS2021_Makita.pdf (j-circ.or.jp)

血糖が高かった

血糖が高くなる原因となる生活習慣を患者さんと一緒に探しましょう

虚せつ性心疾患患者さんの管理目標値はHbA1c<7.0

JCS2021_Makita.pdf (j-circ.or.jp)

脂質が高かった

脂質が高くなる原因となる生活習慣を患者さんと一緒に探しましょう

虚血性心疾患患者さんの管理目標値はHDLコレステロール≧40、LDLコレステロール<100(ACS患者さんの場合)、TG(中性脂肪<150です

JCS2021_Makita.pdf (j-circ.or.jp)

タバコを吸っていた

禁煙達成に必要な情報を集めましょう

体重が多かった

体重増加の原因となる生活習慣を患者さんと一緒に探しましょう

虚血性心疾患患者さんの管理目標値はBMI<25 kg/m2

JCS2021_Makita.pdf (j-circ.or.jp)

すべての患者さんに伝えること

2回目の心筋梗塞を起こさないことが1番ですが万が一の時のために

すべてのACS患者さんへ今回入院した時を同じような症状を感じたときはすぐに来院するように説明しましょう

まとめ

まとめ

・急性冠症候群患者さんの目標は2回目の心筋梗塞がないこと

・そのために冠危険因子の是正に必要な療養指導を行う

・万が一、2回目の心筋梗塞を起こしたときにダメージを最小限に抑えるために、すべての急性冠症候群患者さんに症状出現時の早期受診の必要性を説明する