【生活習慣別・療養指導】看護師が行う減量指導のポイント

食事指導
患者さん
患者さん

若いころはもっと食べてたんだよ。最近は全然食べる量が減っちゃってね。

患者さん
患者さん

ちっとも食べてないのにどんどん太っちゃって・・・。

年中無休でダイエットしているはずなのになぜが減っていかない体重

過去の過食の結果が今の体重であり肥満のもとになっていることは明白な事実です

食べている量>消費している量だから痩せないし、太るんです!とは言っても

数あるセルフケア習慣の中でも1番難しいんじゃないかと思わせる減量

この記事を読むとそんなラスボス的な減量の療養指導のポイントが分かり、患者さんとの関りや自分のダイエットも少し楽になるはず!!

標準体重は何キログラム? どこからが肥満か

どうして肥満ではいけないのか 

飽食の時代が訪れてから人類の永遠の課題となった減量・ダイエット

そもそもどうして肥満はいけないのか それは・・・

様々な疾患の誘因になるからです

虚血性心疾患患者さんの管理目標値はBMI<25 kg/m2

JCS2021_Makita.pdf (j-circ.or.jp)

ではどこからが標準でどこからは肥満なのでしょうか

肥満の評価に BMI

BMIとは身長と体重から算出する肥満度を示す体格指数

普通体重はBMI18.5~22

→[身長(m)×身長(m)]×22=標準体重となります

自分のBMIの求め方=体重÷[身長(m)×身長(m)]

適正なカロリー摂取量はどのくらい?

どのくらいのカロリーがちょうどいいのかって患者さんに聞かれたことありませんか?

その計算式がこれです!!

エネルギー摂取量算出方法

エネルギー摂取量=身体活動量×標準体重(その患者さんのBMIが標準値内ならその体重で)

身体活動量・・・

軽労作(デスクワーク)25~30

普通の労作(立ち仕事が多い)30~35

重い労作(力仕事など)35

*年齢や骨格筋量により基礎代謝量が大きく異なることが予想される場合はこの限りではありません       

思ってたよりカロリーが少なくても体は十分足りているという悲しいお知らせです

患者さんに説明するときには、実際の数字(適正のカロリー量)と合わせて写真などのメニュー例が表示できるとよりイメージしやすくなります

どのくらい多く食べたら1か月が1kg体重が増えるのか

「全然食べてないのに太る」を数字で検証してみましょう

1kg体重が増えるには6000~7000Kcalの余分なカロリーが必要です

1か月で1kg体重が増えるということは1日に200Kcalのカロリー程度多く食べいるということ

では200Kcalの食べ物は具体的にどんなものがあるでしょうか

新人看護師
新人看護師

逆に1日200Kcalの運動をしたら1か月で1kg痩せるってことよね!!

先輩看護師
先輩看護師

その通り!でもね

200Kcal分のエネルギー消費に必要な運動を毎日続けるのはなかなか難しい

私なら毎日の大福を我慢する方ができそうって思うわ

肥満予防に効果的な食習慣とは

肥満を防ぐための食行動10箇条

1 食べる場所、時間を決める

2 今食べてもいいか考える

3 食事の間隔を空けすぎない

4 外食を減らす

5 寝る前2時間は食べない

6 砂糖、油を用いた料理は避ける

7 低エネルギー食品の活用

8 食べたものは必ず記録する

9 ゆっくりよく噛んで食べれば事前に食べる量は少なくなる

10 「今日は特別、これくらいは」「あと一口、もう一口」をやめる

糖尿病療養指導ガイドブック 2018

減量の療養指導のポイント

新人看護師
新人看護師

肥満を防ぐ食行動や、実際のカロリー計算はわかったけど

目の前にいる患者さんに何をどこから指導したらいいの?

先輩看護師
先輩看護師

まずは体重を増やす原因となっている問題行動を患者さんと一緒に探しましょう

問題行動が分かったらそれを是正ぜせいしていくためのポイントを患者さんに合わせて提案してみて

これならできそうだな」と思ってもらえる目標や行動変容が見つかったら実際に取り組んでもらいましょう

問題行動の検索と指導ポイント 食行動編

3食の食事量が増えたら太っちゃうと感じる患者さんは大勢います

しかし主食を減らした分間食をしていたら痩せません

間食として食べる菓子類や菓子パン、くだものは糖質が多く摂取量が少なくてもカロリーは少なくない場合が多いです

間食するくらいなら3食の食事はある程度しっかり食べてもらった方が太りにくいです

問題行動の検索と指導ポイント 食事量編

若いころガンガン運動をしていた患者さんにありがちです

切ない事実ですが必要なカロリー量は思ったほど多くなく、年を重ねるごとに代謝量が減るため食べる量も少なくて良いという事実を受け止めてもらいましょう

誰しも経験があると思いますが、満腹ってちょっと遅れてやってきます

食べ終わるころはもう少し食べたいなと思っていても、食事が終わって5~10分程度経つと不思議と満腹に

ということは腹8分目で食事を終えても、数分後には9~10分目になってしまいます

腹6分目で食事を終えるくらいがちょうどいいと肝に銘じましょう

問題行動の検索と指導ポイント 言い訳編

でました、思い当たる節がありすぎる案件です

毎日おやつを我慢できる強靭なメンタルの持ち主なら、そもそも太らないんです

ご褒美が悪いんじゃない、大事なのはメリハリ!

行き当たりばったりで毎日ずるずるご褒美を与えないことです

その言い訳、誰にしていますか?

今日の言い訳の結果が来週の体重計の数字になって自分に返ってきますよ~

なんてことはなかなか言えませんが、逆に

今週頑張ったご褒美が日曜日に待っていますよ~なら言えるはず!!

問題行動の検索と指導ポイント 継続編

減量するための食事療法や節制は短期集中で行うわけではありません

残念なことに太らないためには生涯継続が望ましいです

ということは頑張ってやっているでは継続が難しいということです

なるべくできそうと思うことや効果が大きいと思えるところから行動変容し、それが当たり前の生活になるように支援していきましょう

小さな変化でも見逃さず、できたことや結果に繋がった行動を患者さんにフィードバック賞賛するを繰り返すことで患者さんのモチベーションアップに繋がります

まとめ

療養指導のポイント 減量編

・BMI25以上は肥満!肥満は心臓病や心房細動の原因、誘因になる

・1日200Kcalカロリーを減らせれば1か月で1kgの減量ができる

・肥満になりやすい食行動がないかチェックしよう

・食事量や間食をやめるためにセルフモニタリングを活用しましょう

・ご褒美を節制継続のために有効活用しましょう

・節制が当たり前の生活を目指し習慣獲得を目指しましょう

・体重横ばいは頑張っている証拠、おやつの記録ができるできるだけでもすごい進歩!とできていることに目を向けて患者さんへのフィードバックしましょう