【生活習慣別・療養指導】心臓リハビリ看護師が行うセルフモニタリングの指導ポイント 血圧・脈拍編

生活指導
患者さん
患者さん

血圧手帳昔やってたけどやめちゃった

そんなに効果があるの?だとしても毎日続けられないよ~

新人看護師
新人看護師

って言われて愛想笑いしながら「そうですよね~」って病室出てきちゃった

効果はあるって聞くけど毎日つけるの大変な気持ちもわかるし、それだけのメリットがあるのかなって正直思っちゃって患者さんに上手く指導できないんだよね

そんな看護師さん必見!!正しくはかって記録するだけじゃないんです

今日の体調がいいのか悪いのか、早めに受診が必要なほどの体調なのか…患者さんにとってそれを判断するのはとても難しいこと

このセルフモニタリングを使えば今日の体調の良し悪しだけでなく、明日元気でいるために今日気を付けたほうがいいポイントまでわかっちゃう

そんな魔法のセルフケアノート、セルフモニタリング習慣の効果と療養指導のポイントに迫ります!!

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セルフモニタリングの正体とその効果

血圧手帳とか心不全手帳とか見たことある人も多いはず、これがセルフモニタリングです

最近は血圧計がブルートゥースでスマホと連携してスマホで記録ができるものも登場しています

ひと昔前に流行ったレコーディングダイエットもセルフモニタリングに入ります

果たしてその正体は・・・

心理学、心理治療の体系に含まれる認知行動療法の手法のひとつ

自分で自分の行動を操作したり、コントロールしたりすることにより自らの行動を変容させる手法です

自らを変容させることは、疾患予防を目的とする健常者や、退院後でスタッフの介入がない患者でも用いることができ、適切な行動の維持についても効果的である

指導士資格認定試験準拠 心臓リハビリテーション必携より
新人看護師
新人看護師

私も毎日体重だけははかって手帳に記録付けてるんだけど不思議と太らなくなったのよね

知らず知らずにセルフモニタリングを活用して行動変容してたってことかぁ

なぜ血圧・脈拍測定が必要なのか

患者さんにこんなこと言われたことありませんか?

患者さん
患者さん

薬もきちんと飲めてるし、診察でも血圧高かったことない

脈だっていつも一緒だし診察の時先生がはかってるんだから、自分で毎日はかる必要なんないでしょ?

患者さん
患者さん

血圧ってはかるたびに値がバラバラでうちの血圧計壊れてると思う

病院ではかるんだから、家でいい加減な血圧なんて測定する必要ないでしょ⁈

こんな風に感じている患者さんにいくらセルフモニタリングをおススメしても導入するのはちょっと難しいです

セルフモニタリングに関わらず、新しい習慣の獲得や行動を起こすときは、メリットがあると気持ちが動くことが重要です

患者さんの気持ちも傾聴しつつセルフモニタリングの威力を存分にお伝えしましょう

血圧測定を行うメリット

高い血圧を見たくない!という患者さんもいますが、見ようが見まいが高ければ血管はダメージを受け続けいつか病気になる日が来てしまう

それを食い止めるためにまずは自分の血圧がどのくらいで推移しているのかを患者さん自身が把握する

これはセルフケア習慣獲得の第一歩です

次の緊急入院を防ぐためにも、ぜひ習慣に取り入れてもらいましょう

測定のたびに値がバラつくのはそれだけ敏感に環境や食事などの生活習慣の影響を受けているからです

なぜバラつくかが分かれば生活習慣の修正へと繋がります

虚血性心疾患患者さんの家庭血圧の管理目標値は130/80未満mmHg

JCS2021_Makita.pdf (j-circ.or.jp)

脈拍測定を行うメリット

安静時の脈が速い時は脱水や発熱があるかもしれません

脈の不整や脈拍数が普段と大きく異なる場合は不整脈が出ているかもしれません

それが分かることで早めの受診行動へと繋がり、緊急入院を回避できる可能性が高まります

自己検脈をすることで脈の不整に気付くことができます

自己検脈ができない患者さんでも血圧計に不整脈マークがでるものもあるため、どんな血圧計を持っているか確認しましょう

正しい血圧測定方法とタイミング

毎日同じ時間に寝起きしている方の方が少ないため、測定時間は多少前後しても大丈夫です

測定の条件だけはしっかり守ってもらえるようにしましょう

条件がバラつくとせっかく毎日測定していても比較ができなくなってしまいます

時々5回も6回も測定してお気に入りの値を記載する患者さんがいます

高かったら高い値をそのまま書くよう伝えましょう

測定前は座って、深呼吸をして安静にしてから測定しましょう

腕に巻き付ける血圧計の場合は心臓と測定部位が同じ高さになるため気にしなくて良いですが、手首で測定するタイプの血圧計は心臓の前に手首が来るようにと説明します

血圧上昇、低下から考えられること

1回の血圧測手値に一喜一憂するのはあまり意味がありません

数日、数週間単位でみてどのくらいの値で推移しているのかを把握すること

そして高かった、低かった血圧からどうして値が変動しているのか推察し原因を突き止めることこそがセルフモニタリング習慣の活用方法、メリットです

先輩看護師
先輩看護師

私が血圧手帳を見ただけで外食した日や、朝早起きしすぎた日が分かっちゃう患者さんもいます

そのくらい血圧は環境や習慣の影響をうけて敏感に反応しています

実際の値からどんなことが推察できるかを具体的に解説していきます

血圧が高い時

血圧が低い時

脈の不整、脈拍数から考えられること

血圧測定時に一緒に出てくる脈拍数

患者さん
患者さん

脈を数えている間にどっか行っちゃうんだよ…

血圧計に出てくるんだから自分で触って数えなくてもそれでいいだろ

って脈はどこにも行きません!と思う気持ちをぐっとこらえて

そのくらい難しい技術、逆にできる患者さんがいたら感動していいレベルと心得ましょう

とは言え、循環器疾患を持つ患者さんはペースメーカーなどデバイス挿入している方も多く習得してほしい自己検脈

数えるのは難しくても脈を触れることさえできれば、脈が不整かどうかの判断ができます

それだけでも得られる情報はとても大きい

自分で脈触ってみようかなと思わせる「脈拍から考えらえれること」を具体的に解説していきます

脈が速い時

脈が遅い時

正しく毎日測定することがゴールじゃない

セルフモニタリングの目的

1.値から日常生活の問題点に気付き自ら修正していけること

2.今日の体調が良いか受診が必要か判断ができること

まとめ

まとめ

・セルフモニタリングは理想的な行動変容をしたいときに効果的な手法

・血管や心臓に疾患を持つ患者さんは早朝高血圧の場合が多く、実際に起き抜けに測定することでしかそれを知ることはできない

・虚血発作は朝起き抜けの時間帯に起こしやすい

・血圧、脈拍のセルフモニタリング習慣のメリットをが感じられると導入がスムーズに

・血圧測定は測定のタイミングと注意点を守って行うことが重要

・血圧脈拍測定は正しいタイミングでもれなく測定することが最終的なゴールではなく、測定値から自分の健康状態や食生活などの日常生活の振り返りに活用できることが目的