昨日の患者さん、週に1回程度朝の血圧が10くらいぴょんって高い時があって
気になって前日どんな生活してるか聞いてみたら
金曜は会議で帰りが遅くなるから外食で済ませることが多いことが分かったんです
すごい発見ね!
血圧手帳などのセルフモニタリングを見ていると値のバラつきから日常生活の問題行動に気付けるようになるの
毎日の血圧、脈拍、体重をはかって記録する習慣が身についてくるとだんだんそこに書かれた値が気になってくるのが人情ってもの
気になりだしたらチャンス!!
値がバラついている日の食事や活動、睡眠を振り返ることで問題行動が見えてきます
問題行動さえわかってしまえばその項目をセルフモニタリング追加することで、知らず知らずのうちに日常生活の是正へと繋がっちゃう
この記事を読むと生活習慣に悪い影響を与えがちな問題行動と、追加すると効果のあるセルフモニタリングの項目についてわかります
セルフモニタリングの正体は自らの行動を変容させる手法
患者さんの日常生活に合わせて是正したい生活習慣の項目をカスタマイズできるのがセルフモニタリングのメリット✨
血圧、脈拍、体重の記載が習慣になっている患者さんに追加項目の提案をすると導入がかなりスムーズです
獲得したい習慣をイメージしてセルフモニタリングの項目を追加しよう
追加する項目ってどうやって決めたらいいの?
どんな項目を追加したら効果的なのかなぁ
食行動、禁煙、運動習慣に効果があると言われているセルフモニタリング
血圧手帳や心不全手帳の値から血圧、脈拍、体重がぴょんと高くなっている日の前日の生活について、患者さんに聞いてみましょう
ラーメンを食べに行った、残業で寝不足だった、飲酒量が普段より多かった、夜のトイレの回数が多くて何度も目が覚めたなど、これかな?と思う生活をしているはず
このせいかも?という行動があったら血圧、脈拍、体重の値と相関性があるか見極めるために短期間限定でも良いのでモニタリング項目として追加してみましょう
食事関連シリーズ
食事時間編
ご飯の時間がバラつくと不規則な生活リズムになって血圧や体重に影響与えている場合があります
食事時間のバラつきがドカ食いや間食の引き金になっていることも多いです
まずは1日のタイムスケジュールを確認しましょう
現在のタイムスケジュールをもとに患者さんと相談しながら実際に無理なくできそうな時間で(1~2時間程度の幅を持たせて)目標の食事時間を設定します
仕事がある日とない日でタイムスケジュールが全く違う場合は平日バージョンと休日バージョンを作るとよいです
日々の食事時間を記載することで食事時間が体調に与えている影響と、目標が達成できているかの確認ができます
外食編
夕食が外食やお惣菜などだった場合、翌朝の血圧が10mmHg程度上昇している患者さんは割と多いです
塩分過多は血圧上昇に大きな響を与えます
血圧が高い日を見つけたらまずはその前に食べた食事のメニューを確認して塩分過多との相関がありそうかチェックしましょう
飲み会や会食後に体重が顕著に増加する患者さんも多く見かけます
飲み会や会食は前もって日にちが決まっていることが多いため、セルフモニタリングの日付などに〇印を書いておくことで飲み会に備えて数日前から節制を強化するなど対策することもできます
間食編
そんなに食べてないんだけどっていう患者さんに割と多く遭遇します
患者さん自身も自覚なく食べてしまっているケースがあるので、間食の回数や内容、量をモニタリングすることで可視化でき「そんなに食べてないんだけど」が実証されます
モニタリングを開始するだけで「減らしてください」と医療スタッフが指導しなくても回数や量が減る場合が多いのが間食の嬉しい特徴です
食事時間と関係なく食べている間食を、食後のデザートに変更するだけでも血糖値の是正などに効果的です
飲酒編
まずアルコールの適量と週2日の休肝日があることが望ましいことを説明します
「適量の範囲で!」など行動変容の指導の前に、今のアルコール摂取量を記載してもらいましょう
アルコールの適量や休肝日という情報先に伝えることで、モニタリングを始めるだけで行動変容ができる患者さんもいます
飲酒時のおつまみの味が濃く塩分過多になってしまう、深酒から睡眠の質が悪くなってしまうなどアルコールそのもの以外の悪影響があることも説明しましょう
番外編
食事関連のお話ではないですが番外編としてお通じのセルフモニタリング
透析やもともと便秘気味など排便コントロールが上手くいかずお悩みの患者さんは意外と多いです
排便があった日にチェックをしてもらい、2~3日排便がなかったら頓服薬を使用するなど具体的な対策への療養指導に役立ちます
運動関連シリーズ
運動療法の目標はまず運動の習慣を身に付けること
そのために運動や活動のモニタリングはかなり有効です
血圧手帳や心不全手帳は1ページ1週間など7日ずつ記載できるものが多いため、運動した日に印をつけると週3回以上の有酸素運動が行えたかの評価が簡単にできます
血圧手帳を書くときに患者さん自身が
週末までにあと1回ウォーキングすれば今週も3回クリアだな
と、患者さん自身で運動頻度の自己評価、行動変容ができます
運動習慣編
長く継続してもらうには簡単に記載できるのが1番のため、患者さんと相談しながら記載方法を検討しましょう
運動の習慣づけができたら次の目標は運動の質向上です
運動の質=負荷量(例えば歩行であれば歩行速度、自転車エルゴメーターならワット数)
運動処方をもとに有酸素運動中の脈拍数の目安について説明し、運動中の脈拍をセルフモニタリング項目に追加
そうすることで安全で効果的な歩行速度でのウォーキングやジムでの適切な負荷設定が患者さん自身でできるようになります
活動量編
超高齢患者さんや整形疾患などから15分以上の有酸素運動が難しい患者さんもいます
そういった患者さんへも運動療法は必要ですし効果的です
運動の評価や目標を立てるときに日々の歩数が活動量の目安になります
スマホに万歩計が搭載されている場合が多いため、活用しましょう
睡眠関連シリーズ
睡眠時無呼吸症候群や泌尿器疾患のある患者さんも多く、睡眠の質が早朝高血圧に影響している場合があります
また夜勤や不規則なシフトの仕事をしている場合は寝不足が脈拍数や不整脈に影響を与えている場合もあります
睡眠時間編
睡眠の質が血圧や脈拍に与える影響はかなり大きいです
生活リズムが不規則な患者さんは就寝時間と起床時間が規則正しくなるだけでそれ以外の生活も改善する場合が多いため、あれもこれも是正が必要という患者さんにはまず試してみる価値ありです
夜間中途覚醒(夜間の排尿回数)編
夜間の中途覚醒回数や排尿回数をモニタリングすることで、他の病気(睡眠時無呼吸症候群や前立腺肥大)が隠れていることに気付ける場合があります
隠れた病気が明らかになれば、治療を開始でき質の良い睡眠を手に入れられます